木のぬくもりあふれる、顔のないこけし
「南部系こけし」は花巻や盛岡市を中心に先人の佐々木家、煤孫家(すすまごけ)などの木地師によって作られてきました。模様を絵付けしていないこけしは、かつては「きくらぼっこ」、現代では「キナキナ」と呼ばれ、これが江戸時代の木地師が作った南部系のオリジナルといわれています。明治時代に入ると、鳴子系や遠刈田系などの工人の影響を受けて絵付けされるようになりましたが、昭和初期には煤孫家と佐藤家によって絵付けをしない伝統の形が守られるようになりました。
頭部がゆるく固定された「はめ込み式」のため、グラグラと動くのが大きな特徴です。彩色のないキナキナは、もともとは子どものおしゃぶりが発展したものなのだとか。それゆえ、11系統あるこけしの中でも“最も素朴で木のぬくもりが伝わるこけし”として、愛されています。模様のあるこけしも、重ね菊やヨダレ掛模様など、素朴ながら味のあるものが多くみられます。煤孫家から木工技術を学んだ安保一郎の流れを汲む、栗のような頭がかわいい「もりおかこけし」などもあります。
※木地=塗料を塗る前のお椀やお盆などの木製の器など
※※木地師=ロクロを用いて椀や盆などの木工品を加工、製造する職人
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