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東北有数の湯治場で受け継がれる伝統の漆器美
東北有数の温泉地・鳴子温泉郷で、鳴子こけしと並び、温泉みやげとして親しまれる「鳴子漆器」。江戸時代後期、温泉湯治が盛んになった鳴子温泉では塗物や箸、楊枝などが主の産物とされていました。湯治中の日用雑器として使われたり、温泉みやげとして湯治客によって持ち帰られたりしたことで全国にその名を知られるようになりました。マーブル模様が美しい「竜文塗(りゅうもんぬり)」など、新たな技法も生み出され、平成3(1991)年には国の伝統工芸品に指定されました。
「鳴子漆器」は轆轤(ろくろ)で成型されたケヤキやトチノキなどの堅牢な木地に、透明感を持つ飴色の「木地呂塗(きじろぬり)」や木目を活かした「拭き漆(ふきうるし)」で仕上げるのが特徴です。漆の下から浮かび上がる木目と丁寧な漆塗りの組合せは、しっとりとした美しさを持ち、使い込むごとに透明感を増していきます。近年では漆器とこけしの技術を組み合わせた商品なども開発されており、従来の漆器とはひと味異なるモダンな製品も誕生しています。
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